最近シフトを終えた筈のが自室に戻っていない事を知り、メインラボの隣に有る廃材置き場でその姿を見つけたのは、殆ど偶然だった
偶々廃材置き場の扉にカメラアイが向き、偶々ロックが解除されてる事に気が付いて、偶々足を踏み入れてみた所、コンテナの上で壁に背を付け眠っているが居たのだ
何故こんな所で寝ている。とか、何故自分の部屋に戻らない。とか、何故俺の所へ来ない。とか、色々言いたい事は有ったが、の寝息が安らか過ぎて俺はその顔を見る事しか出来なかった
―真夜中のベルはまだ鳴らない―
そぉっとの前髪を人差し指で掻き揚げると、腕に隠れていない目元に水滴が張り付いていた
「んん…オ…プテ…マス……。…ス…キ…ぃ」
のささやかな寝言に、一瞬アイアンハイドのブレインサーキットが麻痺する
これまでどんな状況下でも決して揺らいだ事の無いスパークが、急激に萎縮していくのを感じた
まさか…は涙とやらを流し、夢と言う物に見る程オプティマスの事を…?
ブレインサーキットを粉砕された様な衝撃に茫然自失のアイアンハイドの正面で、の穏やかな寝顔が矢庭に苦悶のそれに変わっていく
「オプ……!ス、スキ……!!っスキー板が、挟まってる…!股間に……!!」
「なに「一体どんな夢見てんだぁ!!」
アイアンハイドのツッコミを遮って、の下からだみ声と緑色の装甲を纏ったツッコミの手が上がった
うおっと仰け反る黒いオートボットの目の前で、今まで只のコンテナだと思っていた物の一部が起き上がり、それがスキッズだと分かるのに数秒も要らなかった
腹の上のを起こさない様に両手で支え、首、上半身と起こしていく途中で、漸くアイアンハイドの存在に気が付いたスキッズがカメラアイを不機嫌そうに細めた
「何だよアイアンハイド居たのかよ」「の安眠妨害すんなら帰れ帰れー」
今まで何処に居たのか、相棒のマッドフラップが片手に持ったハンモックを頭上で回しながら出入り口からこちらを見ている
「何故貴様らがについている…失せろ」
「べーっだ!今までが此処で寝てるなんて知らなかった癖に、知った途端に独り占めする気か!そうは問屋が卸さねーもんなー!!」
「二度は言わんぞ、からさっさと離れ「ハイド何?何か異常?リペア要るの?それとも武器のメンテ?」
アイアンハイドがカノンの撃鉄を起こした途端、正に電源が入った様に目を見開き、マッドフラップの上から飛び降りようと構えるが居た
「な、ち、違うぞ。俺は何処も負傷してない…!リペアなんぞ必要ない!」
同胞にカノンを向けている所を見られたかと、動揺の現れる声で、ついでに珍しく手を振って否定する
「そう…違うの…」
アイアンハイドの言葉を受け、自分の目で確かに負傷や不具合の類がない事を確かめると、元の体勢に戻り瞼が落ち始める
「何かあったら呼んで…私、ここに…居る…から………」
2度3度と頭が船を漕いだ後、再び安らかな寝息を立て始めたは、つい今し方までの姿が嘘のようだ
「……うへー!おっどろいたー!こんなに寝起きの良い初めて見たぜ」
の頬をそーっと突付いて完全に寝入った事を確認して、止めていた息を一気に吐き出す様に力を抜くマッドフラップ
「何かまた寝ちまったけどなー。何でだ?やっぱアイアンハイドが居るからかー?」
愛されんなーと向けられる揶揄は既にアイアンハイドの集音機には届いていない
ツインズがを楽な姿勢に変えている最中、足音をがその場を離れて始めた
「…あん?何だアイアンハイド、何処行くんだよ」
音の方を見れば、アイアンハイドが倉庫の出入り口をくぐる寸前だった
「俺が此処に居たらがおちおち寝ておられん」
「けっ、やっと自分が邪魔者だってわかったか。もうの安眠妨害すんじゃねーぞー」
「妨げにすらなれないのなら、今の内精々の寝顔を見ておけ」
いつかその寝顔すら、お前達の手からすり抜けて俺の所に戻ってくるんだからな