「、今日は一段と匂うな」
「人聞きの悪い言い方すんじゃないわこの変態軍医!!!」
以前私がアイアンハイドにオートボットには嗅覚があるのかと言う質問をした所、当然だ証明してやろうかと声を轟かされた。
その後彼を始め、ハイドやツインズやサイドスワイプ、果てはラチェットまでがこうして私の匂いを嗅ぎにくるようになってしまった。
いらん事を言ったと後悔しても時既に遅く、私は日々彼らの餌食と化していた。
中でも特にしつこく、陰惨なのがラチェットだ。持ち前のデリカシーの無さでいらん診断を下してくれる。
この前なんかアイアンハイドの前で「月経前の君が子を成す為の交尾は3日後が最適だ」等とほざきやがったので、オートボット用ラチェットレンチで変態ラチェットを装甲がベコベコになるまで存分に殴ってやった。
その背後で非常に真顔で3日後か…と呟いていたハイドには恐いから触れないでおいたけど。
「、今日はいつもと匂いが違うな」
「あのねえ!香りっていいなさいよ香りって!!まるで私がお風呂入ってないみたいに言うんじゃないわよ!」
何時も臭い物みたいにいわれるのもいい加減限界だったのでトワレを付けてみたが、案の定嗅ぎつけてきたラチェットが私の近くで鼻を鳴らす。
実はくすぐったがりの私。誰彼かわまず他者に接近されるとそれだけで体がぞわぞわする。
「うわっうわ止めなさい変態!しつこい!!好い加減セクハラ訴えるわよ!そんで100対0で勝つわよ!!」
くすぐったがりの制止も聞かず、首元を何度も音を立てて嗅がれ羞恥と怒りで顔が赤らむ。
渾身の力で金属の頭を押し遣ろうとするが、女の力如きでは敵う筈もない。
次第に体の奥に異変が始まる。体が性的な刺激と認識し反応しだしたのだ。
体が熱く吐息は荒い。頭と下腹部の奥がジンと痺れて思わずへたり込んでモジモジとしてしまう。
くすぐったい場所って開発すると性感帯になるんだよねぇと緊張感を著しく欠いた思考が悲しくなる。
いやむしろこれは現実逃避だ。何が悲しくてハイドじゃなくてラチェなんかに・・・!そうだこれは変態軍医にされるんじゃなくて、ハイドにされてると思えばいいんだ!
「? 匂いが変わったな。このニオイは・・・」
必死に脳内変換を行っている私を他所に、そこまで言ってラチェットの口元が、実験台が興味深い反応を示した。とでも言う様に歪められる。
「体調が思わしくないようだな。私が医務室へつれついこう」
「い…やあ…!誰…たす、け…助け…てぇ!」
助けを求めようにもラボの中は騒音で一杯すぎて誰にも私の声は届かない。頼み綱のオプティマスやアイアンハイドはメンテナンスの為スリープモードだ。
因みにサイドスワイプ、アーシー姉妹、ツインズ、ジョルト達は演習の為に出払っている。
孤立無援の今、悲痛な悲鳴を残し私はラチェットに連行される他なかった。
「そういえば今日は3日目だったな」
変態軍医の極めて何でもないように洩らされた言葉に、火照った体から一瞬で血の気が引く。
何を考えているのか、考えたくもないが答えは一つしかない。目的が分かってるのに用いるであろう方法が分からないのも非常に恐ろしい。
成す術がないとはこの事。
助けを求める事すら諦め私はラチェットの手の中で、ただ視界が黒くなるのを感じながら茫然としていた。
ーヒロインの行く末はハッピーエンドとは限らないー