―指先の行方―
「偶の休暇なんだし、良かったらうち来る?それなりに広いし周りに家が無いからオートボッツの皆さんも庭でくつろげると思うわよ?」
そんなの一言で始まったネスト主要メンバー+オートボッツ+サムとミカエラのサマーバケーション。
確かにの家は広かった。と言うか、でかかった。
流石に米軍基地とまではいかないが、個人の持ち家というよりは博物館と言った方が相応しい。
家屋の一番高い屋根などオプティマスが背伸びしてもまだ足りない程の高さを持っている。
見晴らしは良いが穏やかな山間に抱かれており、確かに人の目など気にする必要も無さそうだ。
普段擬態を強いられているオートボットの面々も、ここぞとばかりに思いっきり体をくつろげている。
くつろぐのは良いが、黒いのや腕に剣を付けたのが「此処なら射撃の訓練が」云々と言っていたので、早々に叱り付けて止めて頂いた。
「ただいまー良い子にしてたー?」
ナァンと甘えた声を発する黒猫を抱き上げ、蕩けそうな笑顔で頬擦りする。
主の帰還を察知した沢山の動物が一斉にの元へ駆けて来る物だから、罠と勘違いしたツインズが武器を抜きかけてオプティマスに怒られている。
「整備の鬼軍曹もそんな顔するんだな、猫好きだったなんて意外だぜ」
「シャラップ!私は猫派じゃなくて動物好きよ!ウロコ以外のね!!」
どうでも良い事を力いっぱい訂正するの声に驚いたのか、黒猫が腕からするりと抜け出ると今度はアイアンハイドの方へ向かって行った。
猫がしきりにアイアンハイドの腕に上ろうとする。
潰さない様に摘み上げ手の平に落としてやると、甘えた声で指先の匂いを嗅いぎ、額や体を擦り付け始めた。
「あら随分懐かれたわねアイアンハイド?人見知りで私以外には滅多に近寄りもしない子なのに」
動物が嫌いでないミカエラやサム、ネストの面々の羨ましげな視線を浴びながらアイアンハイドは「そうなのか?」と漏らす。
「私の匂いが分かったのかしらね。ハイドったら何時も私の体をねちっこく弄ぶから」
途端、一斉に視線が黒猫からに集まった。
「冗談よ。一寸前にハイドが手に痺れがあるって言うから指先の装甲を開いてたの。ラチェットにでも聞いて頂戴。一緒にリペアしてたから」
に集まっていた視線が、今度はラチェットに集中する。
期待と疑惑の入り混じった視線に、軍医がその通りだと頷いたので全員が納得して各々の会話に戻っていった。
皆が寝静まった頃、はアイアンハイドと共にテラスにいた。
屋敷の中で夜空が一望できるこの場所が大好きで、何時か彼と此処から星を見たいと思っていたのだ。
「……何故あんな事を言った」
不快でない沈黙を満喫していたが、沈黙を破ってアイアンハイドが不機嫌な声を轟かせる。
「あら、ちゃんと誤魔化したじゃない。何か不満?」
「不必要な発言は邪推を招く」
傍らのオートボットの静かな発言に、ふぅんと声を漏らし相手を見上げた。巨大な相手の表情は窺い知れない。
「下等生物だって言って一番人間を嫌ってた貴方が、人間とHしてるなんて…クロミアに後ろめたい?」
「…誰に聞いた」
「貴方の上官よ。口の堅い司令官で良かったわね」
アイアンハイドがロボット式に鼻を鳴らした。これは機嫌を損ねた時にする仕草だ。
こんな時に近くに居ると高確率で八つ当たりされるのを知っているので、そろりと屋敷内に逃げようとした脚を取られた。
「何処へ行くつもりだ」
そのままアイアンハイドの大きな手の平に落とされ、抗議の声を上げる間も無く唇を鋼鉄の発声器官に塞がれた。
冷たい接吻の間に、黒く大きな指が繊細な力加減で衣服の上から内股を摩りあげる。
「ぁっ…。ちょっと…中にみんなが居るのよ…」
「何時もはもっと人数の多い所だと思うが?」
極限まで音量を絞った彼の囁き声が、耳を通して脳と体を甘く痺れさせる。
「いらぬ疑いを誘う失言には、罰を与えなければならん」
今更逃げ出そうとは思わない。摘み上げられた瞬間から逃げられないのは分かっていたから。
「もう、皆がおきても知らないわよ」
「その時は見せ付けてやれば良い」
「バカ…」
の照れたような声を最後に、唇がもう一度重なった。
交わる事の叶わぬ体はせめても熱を分かとうと互いを分け与え、女の甘い泣き声とロボットの荒い息遣いが響くテラスを複数の目が見下ろしていた事に彼らは気づかなかった。
オマケ
「凄えな。ロボットとヤるなんて度胸あるっつーか何つーか…」
「ふむ、あの2人は性交していると言う疑惑があったが…正しくは自慰と奉仕をする関係だった訳か。何にせよ観察の価値はあるな」
「ラチェットお前は見るな!乍ちゃんの純潔はお前には汚させねぇ!!」
「……純潔とやらは既に無いのでは?」
「オプティマスも見ちゃダメだー!!」
「あれ…は…サムとミカエラ…がしてるのと同じ事?」
「ガキには早い!とっとと寝ろバンブルビー!!」